35歳からの中国語独学

独学で中国語をマスターするために試行錯誤しています。また中国や瀋陽にまつわる色々な事を書きます。

相原茂 中国語の学び方 [新書]

 

中国語の学び方

中国語の学び方

 

  

 私は一九六六年頃から中国語を学びはじめました。大学入学と同時です。

 

 私などが学んでいた頃は、「ちょっと変わっているね」とか、「どうして中国語なんかやっているのですか」とよく言われました。何しろ当時はまだ中国と国交が回復していませんでした。

 わたしの使っている文法の教科書「Why?にこたえるはじめての中国語の文法書」の相原先生の著書です。引用は冒頭部分です。国交がない状態で中国語を学び始めたというのは面白いですね。現在とは状況がかなり違います。今では中国語を学ぶことが様々な場面で訳に立つことは容易に想像できますし、これから30年の世界情勢の予測などを見ても中国の中流層がますます増えていくというのが大方の見方です。今中国語を学ぶことは少しも変わったことではなくなっています。

 

 この本の内容はあとがきにもあるように3つの要素を中心に、相原先生が中国語学習者にむけて、ご自分の経験を語られたエッセイになっています。

 

  • 中国語の学習の仕方
  • 日中異文化コミュニケーション
  • 中国語の中級学習ポイント
 
 
中国語の学習の仕方 

 この本でも発音の重要性について語られています。

耳を鍛えることなしに、中国語の上達はのぞめません。人が口から発することができるのは、耳が聞き取った音のみなのです。

 「中国語 発音良ければ 半ば良し」というのが相原先生のモットーだそうです。中国語を学習する際、日本人も同じ漢字を使うので無意識のうちに文字に引きずられ、それが結果として上達の妨げになっていくといいます。

 その他にも長年の経験談から色々な学習方法のアドバイスがあり、余裕があれば取り入れると良さそうです。

 
日中異文化コミュニケーション

 中国の文化の違いから、言葉の使い方・表現の仕方が違う事を紹介されています。例えば食事の誘いを断る時の、日中の表現の違いなどはとても面白い話です。断った時に「また誘ってください」というのは日本ではおかしいところはありませんが、中国では「次はわたしがごちそうします」という方が自然なことのようです。これは中国では割り勘という習慣がなく、「また誘ってください」は極端にいうと奢ってもらう権利を次回に保留するような都合の良い表現になるといいます。

 また、わたしは妻が中国人なのでコミュニケーションについては多少の経験がありますが、「人に迷惑をかける」話はとても共感できました。中国人は仲が良くなるとお互いによく頼み事をするのです。信頼している間柄ほど積極的に迷惑をかけ合います。これと反対に日本人はできるだけ人に迷惑をかけないようにしますよね。このような日中の違いを色々と紹介されています。

 要するに重要なポイントの一つとして、日本語にはない物の考え方があるということです。例えば中国語の文を日本語に訳していると変な文章になるので、意訳しなければならなかったりすることがあります。和訳で勉強するのは良くないという先生もおられます。言語を使うときはその国の言語で思考したほうが良いといわれるのは、こういう例からみてもわかります。

 

中国語の中級学習ポイント

 この話はわたしにはまだ早いのですが、「単語の内部構造に目を向ける」「慣用句や類義語」の話があります。その中でも驚いたことは「音節数調和」という中国語の音のリズムで表現が変わるという話でした。

 音節数調和とは例えばこういうことです。「私は今年九歳です」というのを“我今年九”とは言えません。

 我今年九岁。

のように“九岁”と二音節にします。もし、十九歳や二十歳なら“岁”をつけずに

 我今年十九。

 我今年二十。

ということができます。音節数制限があるのです。

 他にも例はありますが、なんとなくこの話を読んで少し疑問だったことが分かったよなきがしました。

 

 

 全体を通して引用した冒頭部分のような平易な語り口で読みやすいので、勉強に疲れた時など息抜きに読むことができます。独学で中国語をやっていると周りに同じような学習者がいないのでこの様な体験談を読むと勉強の励みになりますし、教科書で気付かなかった「音節数調和」のような話を発見できました。