35歳からの中国語独学

独学で中国語をマスターするために試行錯誤しています。また中国や瀋陽にまつわる色々な事を書きます。

日本の「終戦の日」と中国の「九一八記念日」

9月18日はどんな日

 1931年9月18日は日中戦争のきっかけとなった柳条湖事件の起きた日です。この数年はニュースなどで尖閣諸島の問題がよく取り上げられるので知っている方も多いかもしれませんが、去年の反日デモの盛り上がりのピークは9月18日でした。

 9月18日は日本で言うと8月15日の終戦の日のような位置づけなのです。日本では太平洋戦争や日中戦争終戦をむかえた日ですが、中国では日中戦争の引き金になった満州事変の起きた日で、この日を境に戦争に突入していきます。中国人にとっては9月18日は日中戦争の日なのです。この数年は尖閣諸島の問題がこの日をピークに盛り上がっています。

 

  私の妻の地元瀋陽には日本占領下は奉天という名前で呼ばれていました。柳条湖事件の起きたのも奉天です。そしてその現場は九一八歴史博物館という日中戦争の展示をしている建物が建てられています。

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 9月18日はこの九一八歴史博物館で式典が行われたりします。そしてその日の朝の9時18分、瀋陽の街では空襲警報が鳴り響き、あらかじめ決められている大きな道路では車が一斉に停車しクラクションを鳴り響かせます。

 今年もその時期に瀋陽に滞在していました。前日のニュースでどの道路で車が停車しクラクションが鳴らされるのかをアナウンスしていたので、当日ビデオカメラを片手に自宅から近い小北関街を撮影しにいきました。

平成25年度の在瀋陽日本総領事館からの満州事変(9.18柳条湖事件)に係る情報提供

 

 自宅近くの小北関街 の様子です。道路の真ん中に立つ警察官が停車する車の運転手に向かって「九一八!九一八!」と叫んでいます。動画を見ていただければわかりますが、周りの人達は車が止まっているうちにさっさと道路を渡ったり、耳を塞いで空襲警報やクラクションをやりすごしたりしている人が多く、立ち止まって黙祷したり、なにか物思いにふけるような人は特に見当たりませんでした。

 私自身はその光景をみるとなぜか天安門事件の映像を思い出し、多くの人達が一斉に同じ行動をとることのインパクトがこれほどすごいのかと感心していました。特に戦争の事について考えた訳ではないです。私はB’zや浜崎あゆみなどのコンサートなどに行った事はないので、そういうコンサートなどやイベントに行った事のある人なら分かるような感覚なのかもしれません。

開戦と終戦

 日本でも中国でも設定された日に戦争の事を振り返るのは同じです。ただ同じ戦争の日でも、「終わりの日」なのか「始まりの日」なのかどちらを起点にするかでかなりイメージは変わってきます。少し抽象的に考えてみると、日本では毎年8月15日に戦争が終わります。一方の中国ではどうかというと9月18日に柳条湖事件を発端に戦争に突入していくのです。毎年9月18日に戦争が始まるのです。

 両国の歴史認識の差異がこのような点にも表れているような気がします。日本では戦争が終わるのですが、中国では戦争が始まるのです。日本の「終戦の日」と中国の「九一八記念日」は終わったことにしたい日本とまだ終わっていない中国、両国の考えを象徴するような日であるように感じます。